鍼灸師という仕事をしていると健康食品についてもお客さんと話をすることがある。
そのとき僕自身が飲んでいるグルコサミンについて『効果はありましたか?』なんて聞かれるんだけど、そのときの言葉は決まって「いつも通り、相変わらずですよ。」と返している。
グルコサミンは『関節痛が治る』ではなく『現状維持』
僕の飲んでいるグルコサミンのパッケージと注意点を見ても『関節痛が治る』とは書いていない。
人体画像の肩や腰、膝に向けて三角がついているだけ。
注意点などの記載内容についても『1日10粒程度』『保存方法、アレルギーなど体質への注意』ということのみ。
機能性表示食品としてのグルコサミンの届け出効果
高純度!グルコサミン(B85) |機能性表示食品データベースより抜粋
- グルコサミンは、運動などにより関節軟骨への負荷がある方の軟骨成分の過度な分解を抑えることで、関節軟骨を維持する。
- 想定する対象者:健常者(運動などにより関節軟骨への負荷がある方)
- 継続的なトレーニング等で関節への負荷がある集団において「関節軟骨の合成を保ちつつ、分解を抑えること」を軟骨の代謝を反映するバイオマーカーを分析評価した結果に基づき報告。
- 国内外の科学論文データベースを用いて基準に合致する臨床研究内容を報告している2論文(査読付き)を評価対象として選択
つまり『運動している人の現状維持に役立つ』という論文を根拠にしており、『既に関節痛を患っている人の治療に役立つ』ということではない。
僕がお客さんにグルコサミンを飲んだ効果について聞かれて「相変わらず」という返事をしている真意は
関節痛は変わらないけれど、効果も『現状維持』なのだから効果の有無について返事に困る。
という意味だ。
健康食品は効果の有無より『無害』であるほうが大事
健康食品を買う以上は何がしかの効果を期待したいところだけど、そういう効果を期待するのは医薬品に任せて、健康食品は『気休め』程度に思ったほうがいい。
しかし、健康食品による健康被害だけは絶対に避けたい。 そのために怪しげな健康食品会社にひっかかる可能性を少しでも避けるための僕なりの基準がいくつかある。
買ってはいけない健康食品の見分け方、僕なりの基準
- 『※個人の感想です』でやりたい放題。
- 「摂取している健康食品が効かない」と会社に言ったら、さらに強力なものを勧められる。
- 聞き慣れない成分や新しい成分が入っている。
1、『個人の感想です』でやりたい放題
ほとんどの健康食品CMは『効果効能をぼんやり見せる』という手法なので、『元気な高齢者が毎日摂取してる』というように見せたり、『昔はどんよりしていた人が今では快活な毎日を過ごしている!』という風にしている。しかし『まともに歩けなかった人が柴犬の散歩で走れるようになりました(※個人の感想です)』みたいな大げさなCMになるのは会社そのもの信用できない。
2、さらに強力な健康食品を勧められる
幸運になるブレスレッドなど怪しげな商品の販売手法はほとんどコレ。
苦情に対してさらに高価な商品を勧められる。この手法で深みに嵌ってゆくと辞めどきが無くなる。辞めたいときに辞められるようにしておきたい。
3、聞き慣れない成分や新しい成分が入っている
有効成分を検索しても情報が少なければ、その情報が正しいかどうかの判断が難しくなり、副作用やデメリットについて調べることも難しくなる。
健康食品に対する幻想と期待
お客さんと関節痛に対する医薬品のCMを見ていたとき「痛み止めの成分が入っているから関節痛が楽になる」という説明があった。
そのとき、お客さんは「医薬品は痛み止めでごまかすのが嫌い。健康食品は関節の成分そのもので治してくれるから、私は健康食品を選ぶ」というようなことを言っていた。
身体のことを真剣に考えるからこそ、医薬品より健康食品のほうが優れていると思いこんだり、医薬品の副作用は気にするのに健康食品は良いことしかないと思ったりする人もいるのではないか。
健康食品に過度な期待は禁物だ。むしろデメリットや効果の根拠について懐疑的になってから摂取するくらいでちょうどいいと思う。
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